

就業規則の作成をしたいけど、節約したいしネットにあるひな形でできないかな?

作るだけならできますよ。でも会社に合っていなかったり、トラブル防止を意識していなかったりすると、いざトラブルが起きたときに作成費用以上のコストになることもあります。
万が一訴訟に発展してしまうと数百万円かかってしまう、なんてことになりかねないので慎重に検討しましょう。


そんなリスクがあるんですか?!とりあえず作成すればいいというものではないんですね。



そうはいってもまずは自分で作りたいという場合もありますよね。今回は自分で作成するときに特に気を付けたいことを解説します。
記事の最後に厚生労働省が公開しているモデル規程にコメントを追加した就業規則のテンプレートを用意しています。読むだけで運用や作成のポイントがわかりますので参考にしてください!
就業規則のテンプレート自体の注意点3つ


厚生労働省で公開されているモデル規程やamazon、書店で購入した書籍のテンプレートを使う前に、法改正に対応しているかどうか、自社に合ったものかどうかまずは検討してください。
ここからは使う前の注意点を3つ解説していきます。
テンプレートの注意点①:法改正に対応しているか
労働関係の法律は頻繁に改正があります。2020年までの最近ではパワハラ防止法、残業の上限規制、有給休暇の5日以上の取得義務、少し前には育児・介護休業法も改正されました。
育児休業、介護休業や有給休暇に関しては中小企業も就業規則の変更が必要になる改正です。最新の法改正に対応している就業規則かチェックが必要です。
テンプレートの注意点②:自社に合った内容か
ひな形の就業規則は様々な企業でも使える簡易的・汎用的なものになっています。そのため、業種ごとの働き方に対応していないこともあります。
例えば、クリニック・歯科医院では週休3日を導入していたり、建設業や運送業で特殊な勤務形態になっているなどの場合です。
9時から18時の休憩1時間のようないわゆる一般的なサラリーマンのような勤務体系ではない中小企業では、検討事項が多くひな形やテンプレートで対応できないこともあるので注意しましょう。
テンプレートの注意点③:雇用形態ごとの規程はあるか
厚生労働省のモデル規程もそうですが、正社員用のテンプレートしかないものがあります。
正社員と契約社員、パートタイマーと雇用形態で待遇が違う場合は雇用形態ごとの規程もあるか確認しましょう。
雇用形態以外にも賃金規程や慶弔規程など「別に定める」と入れているものは、必ず別の規程を作成しなければいけません。
就業規則のテンプレートの個別規定の注意点5つ


労使間で大きなトラブルになりやすいことは、入退社などの異動、懲戒処分です。トラブルになりやすい箇所は就業規則でも適切に定めておきましょう。
労働関係の法令はたくさんありますが、そのほとんどが会社側に義務が発生するものばかりです。会社側に裁量があるものは誤解のないようきちんと定めておくことが大切です。
個別規定の注意点①:人事異動
人事異動は会社側の裁量が認められやすい数少ない権利です。厚労省のモデル規程にはあまり記載がありません。
しかし、転勤や配置転換などの人事異動は従業員の希望に沿わない場合にトラブルに発展する可能性もあります。
就業規則にどういった人事異動があるのか、あらかじめ明記しておきましょう。
個別規定の注意点②:採用
採用時に必要な提出書類を定めているひな形はありますが、内定者から提出されないときのことが定められていないものがあります。
催促しても提出がないまま何もできない、ということにもなりかねません。必要書類の提出期限、場合によっては内定取消になることなど、未提出の際の対応も定めておきましょう。
個別規定の注意点③:休職
休職時の対応も一律に定められているひな形が見られます。入社後すぐに休職してしまった場合やベテランの方が求職する場合など、状況によって対応したいこともあるでしょう。
一律に決めずに勤続年数で休職期間の差をつけたりといった柔軟な対応も求められます。
他にも休職時には医師の診断を受け、定期的に報告してもらうことなどあるとよいでしょう。
個別規定の注意点④:退職・解雇
退社する多くの場合、退職(自己都合退職)か解雇しかないと思われがちです。
実は上記以外にも退職勧奨を含め話し合いにより合意のうえ退職する場合もあります。他にも労働者側の問題で労働の提供ができない場合など、労働契約が終了する事由を確認しておきましょう。
個別規定の注意点⑤:懲戒処分
懲戒処分は自由にできるものではなく、きちんと就業規則に明記しておかないと処分することができません。ひな形では処分対象の事由が少ないものが見られます。
どのような言動が処分の対象になるのか具体的に定めておくことと、服務規律の規定を踏まえた内容にしましょう。
まとめ:就業規則の作成は慎重に検討しよう


就業規則を作成するときの注意点は共通することから、自社独自のことまで数多くあります。今回の記事では、特に注意したいポイントに絞って解説をしました。
もしご自身でテンプレートから就業規則を作成される際は、今回解説した内容を踏まえ書籍などを参考にしつつ、慎重に作成しましょう。
追伸:解雇無効のリスクは特に注意
退職時のトラブルで、解雇無効の訴訟に発展することはなんとしても事前に防止したいことです。
裁判で解雇が無効になると、無効が確定したときまで社員として在籍していたことになり、その期間の賃金の支払わなければいけません。裁判が年単位続くと数百万円になる可能性があることは容易に想像がつきます。
就業規則の不備により、多大な負担が発生しないようご自身で作成するときは特に注意する必要です。参考を二つ用意しましたのでぜひチェックして、お役立てください。
参考①:自力で就業規則を作成したい方のおすすめ書籍
トラブルになりにくい就業規則を自分で作成するには専門的な書籍を調べながら作成したほうがよいでしょう。
これから作るという方だけでなく、既にある就業規則を見直したいという方にも役に立ちます。
以下の2冊はかなりの分量になりますが、ご自身で作成する際には参考にしたい書籍です。特に作成マニュアルはパートや契約社員の就業規則やその他の社内規定などひな形が豊富に用意されています。
・7訂版 リスク回避型就業規則・諸規程作成マニュアル
・就業規則の法律実務<第5版>
![]() ![]() | 岩崎 仁弥/森 紀男 日本法令 2019年06月17日頃 売り上げランキング : |
![]() ![]() | 石嵜 信憲/平井 彩 中央経済社 2020年08月04日頃 売り上げランキング : |
参考②:厚生労働省の就業規則モデル規程
厚生労働省のモデル規程を利用する方も多いと思われますので、モデル規程90ページの中に表紙と目次以外すべてのページに1つ以上コメントを追加したテンプレートを現在公開しています。
合計111個の運用や作成時の注意、補足を記載しています。自分で作成しようか悩んでいる方は、どのようなことに注意しなければいけないのか確認できるので参考にしてください。
現在は公開していますが、予告なく終了しますのでご興味ある方はお早めにダウンロードしてください。
資料をご希望の方は、下記のフォームに必須事項を記入して「送信」ボタンを押してください。
就業規則のテンプレートと作成時の注意点については以上です。当オフィスではクラウドシステムを利用した就業規則の作成も行っております。全国対応可能ですのでお気軽にご相談ください。